2020年7月7日火曜日

第4回目の団体交渉を行ないました。


聖パウロ病院第4回団交報告

 6月29日、聖パウロ病院経営側との第4回目の団体交渉を行いましたので、報告します。場所は、京王八王子プラザホテル「アイリスの間」。組合側の参加は、永留分会長(5病棟)、徳永委員長、加納書記長他2名の計5名。病院側は、花岡事務部長、事務の山下氏、鈴木里士代理人弁護士の3名でした。
 今回、組合が追及したのは、次の点です。
①病院側は、昨年11月5日をもって、それまで慣行的に9時前に行われていた夜勤から日勤への申し送りを、9時以降に行うように周知徹底したと言っていましたが、実際は、12月になっても8時50分から行われていた病棟があったことを確認しています。周知徹底したと病院が言ったのはウソではないかという組合の指摘に、病院側が前回団交(2月5日)で「調査します」と言ったので、調査結果の回答を要求しました。

②組合側は、過去数年間に渡って、始業時間前の申し送りが行われていた事実に対して、申し送りに係わった全ての看護師への早出残業代を支払うように要求しました。「ただ働き」は労基法に違反します。これに対して、第1回目の団交で、病院側の花岡事務次長は、「永留さんにだけはお支払いする」全出勤日について早出の未払いがあったということで計算しようかと考えている」と言いました。
 ところが、前回団交で鈴木弁護士はわれわれは永留さんについてお支払いするということは申しあげてないんです」などと、180度逆転させるようなことを言ったのです。この対応の変化は何なのかと追及しました。

新型コロナウィルスに聖パウロ病院の医師・看護師等が感染した場合の対応について、
・病院の責任で自宅療養とし、特別休暇として取り扱うこと。
・賃金補償については、十割補償を求める。
・エイドさんなどの派遣労働者、委託労働者に対しても同様の休業補償を行うこと。
 以上の3点を要求しました。

 病院側の回答は以下の通りです。
12月になっても申し送りが8時50分から行われていた病棟があったことについて、
 病院側は、「口頭で面接して調査した結果」、「恒常的に行われていた事実は認められなかった」とし、要するに「自然発生的に始まっていた」(第1回団交からの病院側の主張)ので、病院の責任ではないという立場です。
 この病院側の回答について、組合は次のようにとらえています。「恒常的には行われていなかった」という病院側の言葉は、「早出残業があった」「始業時間内に行うようにということが周知徹底されていなかった」事を病院側が認めたものにほかなりません。「調査したけれども、組合が言うような事実は認められなかった」と全面否定することができなかったからです。

組合が申し送りに係わった全ての看護師等に未払い残業代を支払うように要求したことに対して、
・「交渉の対象は、組合員である永留さんである(他の職員は関係ない)」
・申し送りを始業時間前に行っていようと「自然発生的に、具体的な指揮命令で行っているわけではない」のだから、未払い残業代は発生しない。
ということです。これは、病院側が労基法で禁止されているただ働きを認めたことにほかなりません。
 組合側は、一貫して、組合員である永留さんだけでなく、聖パウロ病院で働く全労働者の利益を求めています。労働組合とはそういうものであり、これに対して、病院側が交渉の対象を限定することは不当です。
 また、組合は、「実労働に対して正当な賃金を払え」と主張しています。病院側は「自然発生的に、具体的な指揮命令で行っているわけではないのだから、未払い残業代は発生しない」などと言います。しかし、皆さんどうでしょうか。「申し送り」というのは、全看護師が集まって行うものであり、指示・命令のもとに行われるものです。病院側は、早出残業代を払いたくないが為に、労働時間の管理をわざとずさんにして、こんな詭弁を弄しているとしか考えられません。

病院側の回答「就業規則には、新型コロナウィルスに関する規定はない。しかし、現就業規則にある法定伝染病に関する規定に準じた方針を病院は公表している」
 即ち「新型コロナウィルスに職員が罹患した場合、基本的に給与を十割補償した上で、就業禁止とする」「罹患者について、有休消化ではなく、特別休暇扱いとする」

・エイドさんについて。エイドさんは派遣労働者であり、新型コロナウィルスに罹患した場合は派遣元の規定に準じるということもできますが、病院側は、「業務中にコロナに罹患した場合は、業務上災害として労災の対象になるというのが厚労省の通達としてある」との認識を示しながらも、そのことを病院側の責任として周知徹底させることについては、言を左右にし、はっきりさせませんでした。

 今回の団交でかちとった(成果)と言えるものは、口頭ではあるとはいえ、新型コロナウィルスに罹患した職員について「給与の十割補償」と「特別休暇」を認めさせたということです。病院が文書という形での通知を拒んでいる以上、組合はブログに公表したいと思います。
 しかしながら、未払い残業代の問題については、病院側の回答は明らかに後退しています。始業時間以前に申し送りが行われていたことを認めながら、残業代が発生していることを絶対に認めようとしない、残業代について声をあげた永留さんを「解決金、和解金」で黙らせようとした病院側の態度は許されるものではありません。「就業時間は9時から5時と言われたのに、実際は8時45分に来なさいと言われた。ダマされたようなものだ」という労働者もいます。
 組合は、団体交渉を行いつつ、「出るところへ出る」闘いも視野に入れていきます。
以上