2021年2月27日土曜日

団体交渉で解決すると言いながら、不誠実対応を重ね、労働委員会のあっせんを拒否した聖パウロ病院経営を許さない

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 〇あっせんを拒否した病院側

 2月26日、都労働委員会による第2回のあっせんが行われました。組合側から、永留分会長、加納書記長、内田組合員ほか2名の計5名が出席しました。病院側から、花岡事務部長、事務の山下氏、鈴木里士代理人弁護士の計3名が出席しました。

 結論から申し上げますと、病院側は、あっせんを拒否しました。

 組合は、冒頭、前回のあっせんで、病院側が主張した「始業時間前の申し送りについての残業代は、発生しない」「永留さんにのみ解決金を支払う」という「解決策」についての組合側の見解を三者委員(公益委員・経営側委員・労働側委員)に対して述べました。

 つまり、「実労働に対しては賃金が発生するから、賃金を支払え」「永留さんだけということは求めていない」という組合の主張にはいささかの揺るぎもないということを主張しました。

 それに対し、聖パウロ病院経営は、それならばとあっせんの拒否を労働委員会に申し立てたのです。私たち組合は、このことについて強い怒りを持ち、弾劾したいと思います。


〇労基署の判断も無視し、社会常識を逸脱した主張を繰り返す病院側

 最後に労働側委員が組合に伝えたところによると、病院側のとくに鈴木代理人弁護士は、従前からの団体交渉で主張していたのと全く同じ「変わった」(労働側委員のことば)主張を繰り返していたようです。

 労働法をおそらく全く知らない病院側(鈴木弁護士も含めた)が何と言おうとも、「実労働に対して賃金は支払われるべき」は、一般常識です。労働側委員は、たとえ文書等の業務命令がなくても「8時45分に全員が集まって申し送りが行われていた」のであれば、そこには「黙示の指示」があったとみるべきで、それを病院側が知らなかったとすれば、それこそ病院側の責任が問われるべきだと言っています。知らなかったとは言わせないということです。「始業時間前にやっていた」という就業規則違反をなぜ少なくとも9年間も病院側は認めていたのですか、ということです。

 これは、八王子労基署の監督官も言っていたことで、「自然発生的であろうと」実労働に対して賃金は支払われるべきというのは、何も組合だけが言っている特別な主張ではないのです。かつて鈴木弁護士は、団交で、「違法かどうかを議論する場ではない」といったことがあります。それなら、ただ働きをさせたという違法行為を彼は認めようというのでしょうか?弁護士ともあろう人が。


 今回のあっせんで明らかになったことの一つは、病院側は団体交渉で解決するべきことと口では言いながら、解決する気などさらさらないということです。もう一つは、「たとえ実労働があっても残業代など認めない」という労基法違反のことを平気で実行しているということです。

 皆さん。労働組合の闘いは、団体交渉の場にとどまるものではありません。これからも残業代を認めさせ、支払わせるために闘います。

2021年2月2日火曜日

聖パウロ病院は、あっせん団交から逃げるな!

 

2月1日、多摩連帯ユニオン聖パウロ病院分会は、東京都労働委員会に赴き、あっせん団交を行いました。永留分会長・徳永委員長・加納書記長・石川執行委員が組合側から参加しました。病院側は、花岡事務部長・鈴木代理人弁護士・事務の山下氏が参加しました。

 この日は、三者委員(都労働委員会の公益委員、経営側委員、労働側委員)が組合側から先に提出されたあっせん事項をもとに組合側と病院側双方の言い分を聞くという形で行われました。聴取は、それぞれ別個に行われました。

 組合側は、少なくとも2011年3月以来9年間、永留分会長の勤務する第5病棟を含む聖パウロ病院の全病棟で、始業時間前の申し送りが行われていたことを明らかにし、

「少なくとも2011年以降の未払い残業代が存在する。始業時間前の未払い残業代を全職員に対して支払うこと」を求めました。

 組合側はさらに、「総師長が8時45分から(申し送りを行う)と言っていたことをとらえ、「病院側が認知していなかったことが問題だ」と指摘しました。

 また組合側は、労基署の「2019年11月以前に早出残業があったかどうか調査するように」という指導に対して、病院側はろくな調査を行っていないので、それもきちんと調査するように要求しました。

 組合側は、「働いた分は、払え」と至極当然のことを要求しているにすぎません。病院側はそれに対して、「自然発生的に始業時間前に行われていたものであり、早出残業は発生しない」などと一貫して主張し、残業代の支払いを拒否し続けているのです。


 この日のあっせんは、組合側と病院側からの聴取が別個に行われたため、病院側が何を主張したのかは直接は聞いていません。しかし、労働側委員の説明によると、病院側は以前からの団交での主張をそのまま繰り返したようです。すなわち、「早出残業は発生しない」「全職員への支払いは考えていない」「永留分会長にだけは和解金という形での支払いを考えている」という主張を行ったようです。

 病院側は、あっせん団交に応じたにもかかわらず、これまでの不当な主張を繰り返していただけのようです。とくに代理人弁護士は法律の専門家であるにもかかわらず、「実労働が発生していれば、賃金は支払われるべき」という大原則すらも無視する主張を繰り返しているのです。代理人弁護士は、口では「団体交渉で解決するべき事柄」だと言っておきながら、団交の意義をまったく理解していない。労働法の初歩すらも分かっていない。こんな醜態を労働委員会の場でさらけ出しました

 

 「(労基署の指導にあった)2019年11月以前の早出残業の実態についての調査をどのように行ったのか」という委員側の質問に対しては、「資料を持ってきていないので具体的には説明できない」と言ったとのことです。本当に調査したというのなら、資料をきちんと持ってくるべきなのです。ましてや、労働委員会の場なのです。早出残業については調査していない、調査すると残業の実態が暴かれるので調査しなかったというのが実際のところでしょう。

 組合の主張は鮮明です。永留分会長だけ「和解金」を支払うことは拒否します。そんなことで組合はごまかされたりはしません。少なくとも9年間にわたって未払い賃金が存在していることをごまかすことは認められません。全職員へ未払い残業代を支払えと要求します。

 次回あっせんは、2月26日(金)13:00から、都庁38階です。病院側はあっせんを拒否することも考えられます。病院は逃げるべきではない。組合へのメール、ブログへのコメント投稿、ぜひお願いいたします。