2020年9月12日土曜日

聖パウロ病院第5回団交報告


 9月8日(火)京王八王子プラザホテル3F「カトレアの間」で、第5回目の団体交渉が行われました。

 出席者は、病院側から花岡事務部長、事務の山下氏、鈴木里士代理人弁護士の3名、組合側から永留文子分会長、徳永健生執行委員長、加納敏弘書記長、石川正浩執行委員、末木あさ子組合員の5名でした。

 冒頭、加納書記長から、組合側の団交要求書に対し、病院側がコロナ感染拡大を理由に、期限の定めのない団交の延期を申し入れたことについて強く抗議し、このようなことを繰り返さないように申し入れました。

 現在、新型コロナは感染がまだまだ終息していない状況ですが、八王子市内の公共施設・民間会議室は人数制限はあるものの、使用可能な状況です。それであるにもかかわらず、病院側は団交の延期を申し入れてきたのです。しかも、「いついつまでに実現可能なように努力する」等々の文言すらなく延期を申し入れたことは、事実上の団交拒否に当たります。感染防止策をとれば、団交・会議は可能であるにもかかわらずです。

 加納書記長の抗議に対し、病院側の鈴木弁護士は「団交拒否ではなくて、団交延期である」などと弁明しましたが、理由のない、期限の定めのない延期は「団交拒否」に当たります。


 今回の団交の目的は、7月末に、花岡事務部長が鈴木代理人弁護士を伴って、八王子労働基準監督署の呼び出しに応じて訪問した際の、労働基準監督官と病院側のやりとりの全容を説明してもらうことにありました。


組合「労基署からはどういう質問を受けたのか」

病院「病院の人員・体制などの組織の概要。始業・終業時刻・賃金。労基署が臨検した場合にするような一般的な質疑ですよ」

組合「何か調査するように言われなかったのか」

病院「時間管理。始業時間の状況について確認するように言われた」

組合「労基署に調査結果を報告するように言われてないのか」

病院「確認するようにと指導された」

組合「いつまでにという期限は切られなかったのか」

病院「9月中には・・・確かそのころだと思います」


 ここまでのやりとりで重要なことは、最初に労基署に呼び出された時点で、いきなり労働時間管理についての実態調査をするようにという指導が入ったということです。病院側は最初は「労基署の臨検(立ち入り調査)の際に聞かれる一般的な質問だ」と言って逃れようとしましたが、労基署は病院の時間管理に疑念を持ったからこそ、「指導」という形をとったのです。ちなみに「指導」の次は、「是正勧告」です。

 

 組合は7月15日に、永留分会長と加納書記長で労基署に行ったときのことを伝えました。

組合「実は始業時間前の8時45分に申し送りが行われていたという早出残業の件で私たちは労基署に行った。労基署は労働時間の管理のしかたを聞いてきた。出勤簿に判子を押すだけの昔ながらのやり方でやっていると言ったら、労基署がちゃんと時間が記録されないのかと、ICカードで管理するしかたじゃないのかと聞いてきた。厳密な時間管理じゃなかったと、労基署に説明した。ただ単に時間管理を徹底しなさいという、それだけの話ですまないと私たちは見ている。指導が入ったことは、これはかなり厳しいと受け止める」


組合(永留)「花岡事務部長は、自然発生的にやってたと言った。しかし自然発生だろうとなんだろうと(実労働としてやっていた)事実は事実。だから9月20日までに、幹部職員だけでなく労働者に聞いて、実態調査をして、それを報告するようにということと、未払い賃金を9月25日までに支払うように花岡部長に言ったと聞いた」


 病院側の説明には、こうした具体的な指導内容の説明は、一切ありませんでした。ただ「始業時間の内容について確認するようにと言われた」と言うのみでした。しかし、永留分会長が実際に労基署の監督官と面会して聞いた事実を暴露されて、病院側はぐうの音も出ません。


組合「労基署から指導が入ったことは、重大な動きだ。で、この調査の内容はわかっているのか?労働時間の管理、とくに昨年の11月5日に申し送り時間が変わるまで、始業時間前に申し送りが行われていたということに対して、労基署は注目している。その実態を調査しろと言う風に労基署から言われたのではないか」

 この追及に対して病院側は何一つ答えることはできません。おそらく本当なのでしょう。


組合「その報告内容を組合の方にもお知らせいただくというのは可能なのか」

病院「具体的な対応までまだちょっと判断できないと思いますので、いまこの場で今の段階でじゃあその金額支払いなり対応成りを開示できるかどうかこの時点でお約束はできない」

 この病院側の発言(発言者は鈴木弁護士)を見ると、病院側が未払い賃金の支払いまで労基署にいわれたのは本当と見るしかないでしょう。


労基署から呼び出しがあったあと、夜勤者の申し送り時間もいきなり変更になった


組合(永留)「夜勤者も16時30分からずっと申し送りやっていた。花岡事務部長が労基署に呼び出されたあと8月1日から急に夜勤者から日勤者への申し送りが16時45分(始業時間)に変わったんです。就業規則は16時45分だからと急に変更になった」

組合「これは事実ですか」

病院「この団交は組合員である永留さんの条件待遇について交渉する団交と考えている。夜勤者ではない永留さんには関係ない」

組合「これは病院の不祥事である。病院の職員である永留さんが心配してどうなっているんですかと質問している」

病院「なんの関係で問題にしているのか」

組合「始業時間前の申し送りが、聖パウロ病院の中で日勤も夜勤も常態化していたのではないかと言うことを確認したい」

病院「常態化しているという認識はない」

組合「これは永留さんにも関係してくる。(未払い残業になる)前残業だから16時45分に戻した。これは永留さんの日勤の場合に起きたこととまったく同じだ。だから聞いている。組合は労基署が入ったから、始業時間以降に戻したと考えている。そうすると永留さんの件にも関係してくる」

(日勤は、永留さんが組合に加入した直後の昨年の11月5日にいきなりそれまで8時45分から申し送りが行われていたのが、始業時間以降に変更になった)

病院「永留さんは夜勤者ではない(だから答える必要はない)」

組合(永留)「パターンは同じなんです。8時45分からやっていた申し送りを急に9時にパッと変えたときのことと、今度の労基署から呼び出されたあとの16時45分からになった、パターンは同じなんです」


 団交の一番最後に、鈴木代理人弁護士が「労基署とは別に」永留さんに対する金銭解決案を持ち出してきました。


病院「例えば1日あたり15分と換算して、2年間で計算した賃金相当額を解決のために、和解という形でえとお支払いさせていただくことは考えている」


 病院側がこういうかたちで「和解案」を持ち出したのは、永留分会長を先頭とする組合の闘いに追いつめられた結果だと言えます。前回の団交で組合が「出るところへ出ようか」という話をして、実際に労基署を動かしたのです。その結果、労基署で全職員の労働時間を調べなさいということに至ったわけです。

 これは永留さんを初めとしてわれわれの最初からの要求でした。本来はそうした行政を動かしてということではなくて、組合と病院との実質的な交渉に置いてこれは解決するべき問題です。それを病院側がないがしろにしたということが今日の事態に立ち至ったということです。全ての責任は病院側にあります。

 病院側はどんな調査結果を出すのでしょうか。期待しています。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿